店主のひとりごと

 

  • 2021年02月10日(水)10時24分

初めてのお客様

先日始めてもお客様が見えた。レコードマップをご覧になって、こんなところにレコード店があるということでのご来店だ。

お客様:どんなレコードがありますか?
店主:ジャズ、ヴォーカル、クラシックそしてロックと揃っています。オリジナル盤がメインです。
お客様:オリジナル盤とは?
店主:レコーディングされた国で最初にレコード発売されたものとジャケット、センターラベル、盤などが同じものをいいます。
お客様:私達が聴いている最近発売されたレコードやCDとは違うんですか?
店主:音が違います。比較すると違う音楽に聴こえたりします。そしてジャケットの作りも時代とともに変わりますので、作られた時代の雰囲気があります。聴いていただいたほうが早いですよ。気になるレコードがあったらかけてみます。

お客様はそれからレコード棚を眺めて、「ジュリー・ロンドン/ジュリー・イズ・ハー・ネイム」取り出したので早速かけてみる。曲はもちろん「クライ・ミー・ア・リバー」である。
お客様:ライブを聴いているみたいです。こんなレコードは初めて聴きました。

それからジャズのインストやロックなどお客様が取り出した&私がセレクトしたレコードをかけてみる。「ドナルド・フェイゲン/ナイト・フライ」、「マイルス・デイヴィス/ゲット・アップ・ウィズ・イット」、「ジョニ・ミッチェル/ワイルド・シングス・ラン・ファスト」、「ジョニ・ミッチェル/フォー・ざ・ローゼズ」、「スティーリー・ダン/エイジャ」などなど。
音のレベルが高いレコードばっかりだったので、お客様はとても喜んでいらっしゃる。

質問も次から次に。
お客様:私の使っているシステムは安いミニコンポに近いものですが、それでも音の違いは出ますか?
店主:十分出ます。セッティングのやり方によってはあまり大げさではないシステムでも、音のレベルを高くすることは可能です。
お客様:45回転のほうが33回転より音がいいと言われますが、本当ですか?
店主:これは聴いてみないとわからない場合が多いです。日本では回転速度が早いから、音溝が大きいから音がいいとか言われていますが、レコード制作の過程から考えると一概にどちらが有利とは考えにくのです。私の経験している限りでは、LP、EPのフォーマットや回転数に関わらず、例えば、シングル盤を発売した後に、いろんなシングル盤を集めてLP化した場合にはシングル盤のほうが勝っていると言えます。またLPを発売した後に、そのLPからシングルだけを発売した場合にはLPのほうが勝っているようです。
レコーディングしたその日に制作されたレコードが最も音的に優れていて、時間が経てばテープの劣化によって音質も劣化します。劣化するとマスタリングをやり直す必要があります。そのときに音質は変わるのです。
音の優劣はレコード化された日がいかにレコーディングされた日に近いのかということが大きな要素になります。マスタリングの良し悪しなど他の要素も考慮する必要はありますし、回転数などのフォーマットによる場合もあるかもしれませんが、やはり聴いてみないと分からない場合が多いです。

他にもレコードをかけながら色々質問をいただいて、話している私も楽しかったがお客様も満足されたようで、かけた中の一枚をお買い上げいただいた。

左:Steely Dan / Aja (ABC AB 1006)
右:Joni Mitchell / For The Roses (Asylum SD 5057)

アップロードファイル 162-1.jpgアップロードファイル 162-2.jpg

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  • 2021年01月04日(月)14時10分

ターンテーブルベルト

毎年、年末には二人の子供たちが帰省するので少し賑やかになるのだが、今年は二人共コロナの影響で帰省を取りやめたので奥さんと二人きりの静かなお正月である。
元旦はお休みにして2日から仕事を始めたが、2日3日と来店される方はいない。コロナの影響で皆さん遠慮されているのだろう。

昨日郵便受けを見るとアメリカからの郵便物が届いていた。待ちに待ったターンテーブルベルトである。私はターンテーブルを2台使っていて、LP12をモノラル用、VPI HW19-MKIIをステレオ用にしている。

昨年夏ごろだったか、VPIのベルトが少し緩んできた様に感じていた。音の輪郭が若干甘いのである。10年ほど前に交換してそのままだったので交換時期が来たと思い輸入代理店に問い合わせてみたところ、「HW19-MKIIは古い機種なのでメンテナンスは行っていなくて、ベルトも手に入らない」とのことだった。で、その時はその内になんとかなるだろうと思いながら12月中頃にとうとうターンテーブルが空回りするようになったのである。
ステレオが聴けなくなると問題だが、たまたま10年前に交換した際の古いベルトを持っていたので試してみたらこちらは問題なく回転するので取り敢えずは大丈夫である。しかし早めに用意しておかないと、とんでもないことになる。

ネットで探してみると、アマゾンにもHW19用のベルトは掲載されていたものの在庫切れとなっているし、他では見当たらなく国内では入手出来ないのだ。
いや困った。どうしようと思いながらアメリカを探していたところアナログ関係のサイトに販売しているところがあったので、早速2本注文した。価格は1本約30ドルで、ターンテーブルベルトとして考えると30ドルでも高価なほうではあるが、以前国内で入手したときは約1万円だったので送料を加えてもかなり安く感じる。

アメリカから郵送だったら時間がかかったとしても2週間、早ければ年末にでも届くかなと思っていたが、正月3日の到着になったのだ。
早速ベルトを交換して聴いてみたところ、輪郭の甘さがなくなってピンと張り詰めた音になった。私にとっては何よりのお年玉である。
今年は幸先がいいかも。

VPI HW-19 MKII

アップロードファイル 161-1.jpg

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  • 2020年05月14日(木)16時08分

ステレオ・カートリッジとモノラル・カートリッジ

2002年か2003年だったと思うが、吉祥寺のジャズ喫茶「メグ」でレコード・ライブをやったとき、「ステレオとモノラルではどちらがいい音?」みたいな話になったことがあった。当時の私はモノラルの素晴らしさをあまり感じていなかったので、ステレオが有利といったことを言った記憶がある。その時お客さんの一人が「モノラル盤はモノラル・カートリッジで聴けばいい」みたいなことをおっしゃったのである。でも、私は正直なところピンときていなかったんだな~。レコードはステレオ・カートリッジで聴くものだと信じていたし、モノラル・カートリッジの存在すら意識もしていなかった。
ご来店いただくお客様の中にも「私は殆どモノラル盤を聴いています」とおっしゃる方もいたのだが、そんなときも今考えるとお恥ずかしい話だが、ステレオの優位性を説いていたのである。

数年後、鳥栖のO石さんから「グラードのモノラル・カートリッジを取り寄せて欲しい」との要望があって取り付けに行ったことで、私の考えは180度変わってしまった。詳細は他でも述べているので省くが、モノラル・カートリッジで聴くモノラル盤の凄さに圧倒されて、鳥栖から帰ってすぐに同じカートリッジを取り寄せたのである。

最近はオーディオのイベントに出店する機会があり、東京、札幌、名古屋そして松本などに出かけていて、陳列するレコードは殆どがオリジナル盤でそれもモノラルが多く、ラインナップはジャズ、ヴォーカルそしてクラシックがメインである。
お客様の中には「モノラル・カートリッジを持っていないのでモノラルは聴かない」とおっしゃる方もいらっしゃるのだ。私は「ステレオ・カートリッジでモノラル盤を聴いても問題はありません。ただ、より高いクオリティを求めるのであればモノラル・カートリッジが必要です」と答えている。
興味を持たれる方には「出来ればプレーヤーを2台ないしはトーン・アームを2本にしてステレオ用とモノラル用に分けてください」と説明しているのだが、そこで理解していただく方も少数ではあるがいらっしゃるのだ。

レコードの歴史を辿ってみると、アメリカでは1958年にステレオが登場するまではモノラルしかなく、以後1967年ころまでモノラルとステレオステレオが並行して発売され、1968年以降はステレオのみになっている。但し、ヨーロッパなどアメリカ以外の国では若干年度の違いがあるが。
たくさんのオリジナル盤を聴いてくると、時代が新しくなるにつれて音が劣化しているように思えてならない。ジャズやヴォーカルのオリジナル盤を聴いていると特にそれを感じるのである。録音からレコード制作の時点で、イコライザーでの調整、リバーブ、多重録音など技術面の進歩に逆行するように音質は変化してくのを感じるのだが、皆さんは如何だろうか?当然70年代にも80年代にも優れた録音は多いのだが、私はやはり50年代のモノラル録音に自然な音質を感じるのである。

そんなモノラル録音をモノラル・カートリッジで聴いたときの優位性は、音色がよりナチュラル、フォーカスがピタッと合う、前に出てくる音や深い奥行きのなどの情報がより多くなる、それにスクラッチ・ノイズが極端に少なくなる等が挙げられる。
結果として、ミュージシャンの表現が伝わってくるしパワフルなエネルギーを浴びることも出来るのである。もちろんフェロモンも。


モノラルの魔力を教えてくれたレコード
Earl Fatha Hines / Fatha, The New Earl Hines Trio - Columbia CL-2320

アップロードファイル 160-1.jpg

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  • 2020年05月14日(木)10時07分

電源事情2

殆どの方が「そんなの関係ない」と思われるかもしれない「これはやったらダメ、これはやったほうがいい」を紹介してみよう。対策を色々やって得た知識の中には私一人ではなく、佐藤俊哉(佐藤匠)さんのアイディアや経験によって得たものが多いということはお断りしておく。

携帯電話やスマホのバッテリー
スマホのバッテリーをコンセントに繋いだままオーディオを鳴らした場合、電気ノイズが乗る。従ってオーディオを聴く場合は充電器をコンセントから外す、ないしはテーブルタップにon, offのスイッチがある場合はoffにしておく。Onの場合とoffの場合ではSN比がかなり違う。

壁コンセントのカバーやテーブルタップ
壁コンセントのカバーを金属のものにしていたのだが、テストとしてプラスチック・カバーにしたらSN比が向上し、テーブルタップでも同様の結果だった。
理由がイマイチ分からなかったのだが、北海道オーディオショーの時に知り合いのコンセントなどを作っているメーカーの方に聞いたら「金属をカバーに使うとアンテナの役割をしますので、おっしゃる通りです」とのことだった。と言いながら、そのメーカーさんは金属カバーのコンセントを作っていたのだ。

照明
照明で音の良い順番は、1番が白熱球、2番がLEDそしてダメなのが蛍光灯である。最近はまだ手には入るものの日本での白熱球は製造されていないのではないだろうか。オーディオには苦難の時代である。私も現在は光量の問題と入手困難という理由でLEDにしている。

パソコンの弊害
パソコンの場合はスイッチをonにしておくとハードディスクが回って回転音が出るので、これもSN比に影響が出る。同じ部屋に有る場合は出来るだけ電源は切っておきたい。

お役に立つようであれば試して頂きたい。


Doris Day / Sentimental Journey – Columbia CS-9160
対策が適切に行われるとフェロモンを感じることが出来るかも

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  • 2020年05月14日(木)10時05分

電源事情1

レコード店を始めたときは宗像郡津屋崎町勝浦に住んでいたのだけど、勝浦は数十件の集落が7~8個、それも広範囲の地域に点在しているような田園地帯である。私のところはその中の一区画にあり、周りは田圃と何軒かの民家、ご近所とも音をバリバリ鳴らしてもご迷惑にならない程度の距離があった。
皆さん「田舎アンプ」という言葉をご存知だろうか?これは以前から言われていることなんだけど、田舎になればなるほど音が良くなるという意味なのである。

何が違うのかというと電源事情が全く違うのである。ご近所の電気の使用量が都市部の雑居ビル、商店街のお店、住宅地の戸建てなどと比較しても極端に少なく、例えば都市部の雑居ビルが口径1mm程度の電線で電気が伝わってくるような状態としたら、田舎のご近所が少ない場所だったら口径100mmいや口径1,000mmもある電線で電気が供給できている状態になるわけだ。結果として商用電源によるノイズが極端に低くなるのである。そして結果は「田舎アンプ」ということになる。

それと、レコード店を始めるかなり前、オーディオを始めて間もない頃だったが家の改築をやって防音目的のためにオーディオルームを作ってもいた。当時の私はオーディオの知識は全くと言っていいほどなくて、大工さんと大建工業の営業の方に「音が漏れないようにはどうしたら?」と相談して作っていいたのである。後で知ったことだが、ルームアコースティックが奇跡的に優れていたのだ。もう一つ、オーディオ用のコンセントのみブレイカー部分で切り離して専用にしていたということもあり、また振動対策などはかなりやっていたのである。一つ例を上げると、ケーブルが床に接触しないように洗濯バサミや備長炭を細い棒状に切って一合枡に入れたものを支えにしていたりしていた。

そんな状況でレコード店をスタートしたわけだが、ご来店いただいたお客様の反応は私の想像以上のものがあった。「こんな音初めて聴きました」とか、中にはレコードを聴いて涙を流した方も。ひょっとしたらいい音が出ているかもしれないとか思いながら、でも本当は自分ところの音のレベルなのか分かっていなかったのだ。

2008年、都会に近いほうがもっと来客が増えるだろうと新宮町桜山手に移転した。場所が変わったら音が変わるなんて想像もできなかったが、システムは同じなのにご来店いただいたお客様からは「勝浦のほうが良かった」との感想である。何で?部屋が太鼓みたいな作りになっているので響きが多い?天井の形状が斜めになっているので反射がおかしいなどなど?いろいろ考えてそれなりの対策をやってみたが少しは改善しても根本的にダメだったので、アンプを変えることにした。それまで愛用していたミュージック・リファレンスとマコーマックのプリ&パワー・コンビから、憧れていたコンバージョンド・オーディオ・テクノロジーのプリ&パワーに。価格差はなんと約10倍である。
でもお客さんの反応は変わらないのよね。桜山手に5年住んでいての結論が、建物の50mほどのところに高圧線の鉄柱があり、天気のいい日に外に出て眺めていると「ジーッ」と音が出ている。つまり電源事情が最低なのだ。「ここではいくら頑張っても無理」と思い、古賀市花見に移転することにした。花見は立地的に音への影響があるようなものが何もないというのが選んだ理由である。

花見に移転して8年、勝浦のときは「田舎アンプ」という強力な武器を持っていたのだけど、花見は部屋がオーディオ用ではなくて普通のリビングということでやることは多かった。しかし最近はご来店いただいたお客様からは「勝浦の・・・」を言われなくなったのだ。
何度も失敗することによって「これはやったらダメ、これはやったほうがいい」が積み重なってきたのと色んな経験が音を判断させる能力を向上さたのかもしれない。


Abbe Lane / Be Mine Tonight - RCA Victor LSP 1554
上手く再現できたらアビー・レーンがステップを踏んで腰を振りながら歌ってくれるかも

アップロードファイル 158-1.jpg

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