店主のひとりごと

 

  • 2016年10月08日(土)10時08分

「杜の会in白馬 ’16秋」報告 No.6

初めにご紹介した童話『月夜のでんしんばしら』の作者は、宮澤賢治です。
賢治は詩人、童話作家であるだけでなく、岩手きってのレコード・マニアでもありました。彼は膨大なSPレコードを、近所の楽器店を通して発注。英ポリドール(1924年設立のDGの分社)は、日本の田舎で売れるクラシック盤の異常な数に驚き、1927年、この楽器店に感謝状を贈ったのです。
賢治が「月夜…」を含む童話集『注文の多い料理店』を出版したのは1924年。これはレコード録音が機械録音から電気録音への切り替わった年で、賢治のレコード収集が最も加熱していた時期でした。初めて聴く電気録音の鮮明さに、賢治はどんなに驚いたことでしょう。
『月夜のでんしんばしら』のラストシーン。
線路をやってくる汽車の窓が真っ暗なのを見た電気総長は「こいつはしまった。けしからん」と叫んで走っている列車の下にもぐりこます。
「あぶない」と恭一がとめようとしたとき、客車の窓がぱっと明るくなり、一人の小さな子が手をあげて「あかるくなった、わあい。」と叫んで…物語はそこでぷっつりと終わります。
賢治が蓄音機やレコードを題材にした作品を残さなかったのは残念ですが、私にはこの作品が、賢治が言葉で描いた音楽賛歌にも思えるのです。

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  • 2016年09月03日(土)11時25分

モノラル?

最近立て続けに同じパターンの考え込んでしまうことがあった。
お客様が試聴希望されたときタイトルやミュージシャンの指定がなければ音が良くて演奏内容も優れたものをかけるようにしている。

1ヶ月ほど前、たまにいらっしゃる方にFrankie Carl / Top of The Mark(RCA LSP 2233)をかけたところ、「モノラルですか?」とおっしゃる。このアルバムはRCA Living Stereoで、特にステレオイメージが豊かなところが特徴であり、優秀録音盤と思っているのだが。

数日前、遠方(本州の北部)からわざわざいらした方に、Doris Day / Sentimental Journey(Columbia CS 9160)をかけたところ再び「モノラルですか?」とおっしゃる。このアルバムにしたって見事なステレオイメージがあり、私の大好きなステレオ盤である。

同じことが2回もあると、ちょっと悩んでしまった。
我が家のシステムはステレオイメージをよく出すのだが、可聴位置が狭いためセンターに座らず偏った位置で聴くと片方のスピーカーの音ばかり聴こえるというところはあるのだが、どちらもセンターで聴いておられた。

モノラルレコードをかけたとき「音離れがいいのでステレオみたいに聴こえますね」という方はたまにいらっしゃる。このときは「私もそう思います」と答えている。こちらは当たり前のことである。

では何なの?
あくまでも想像だが、ソロ楽器ないしはヴォーカルがセンターに定位してスピーカーの前に飛び出してきた場合、そんな音を聴いたことがなかったらそこばかりに気を取られてモノラルと勘違いしてしまう。
または、音はスピーカーから出てくるものと思っている場合、ちょっと語弊があるので言い方を変えると、いつもスピーカーにへばりついている音を聴いている場合、音離れが良くてスピーカーの存在を感じさせない音を聴いたときには、センターに定位した音に耳がいってしまい、勘違いしてしまう。
はっきりした結論はまだだけど、こんなところだろうか?

左:Frankie Carl / Top of The Mark
右:Doris Day / Sentimental Journey

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  • 2016年08月05日(金)08時33分

「杜の会in白馬 ’16秋」のお誘い

世間では・・・・アナログレコードが復権しているとか。CDも売り上げが芳しくなく、SACDは何処へいったやら。PCオーディオは訳が分からずデータ配信も何だかなあ。一旦仕事をリタイヤして時間が出来たおじさん達が昔のレコード引っ張り出してきたり、LPそのものを知らない世代が物珍しげにトンチンカンなやり方をものともせずプレーヤーを廻している昨今。

復権だって?自慢じゃないが毎年飽きもせず白馬に集まっているおじさん達はアナログを止めた事など一度も無く、それどころかオリジ地獄に堕ちてこのかた十数年。いや、もっとか。傷だらけでカビ臭い古レコードを一人ニタニタ笑いながら深夜眺めて悦に入る、まさしく病人連中。

世間の冷たい目もなんのその、今年も元気に彼の地にて音楽三昧に浸れる恒例のひとときを提供いたします。新しい演目は・・・得にありません。いつもどおりです。

という訳で「杜の会 in 白馬 ’16秋」下記のとおりご案内申し上げます。久しぶりの面々と気のおけない会話と良い酒と旨い食事と音楽と。お待ちしております。


・日時:2015年10月1日(土)

・場所:ペンション洗濯船
     長野県北安曇郡白馬村大字北城3020-1109
     Tel:0261-75-1066 Fax:0261-75-1067
     e-mail p-info@sentakusen.info

・スケジュール 
PM3:00頃スタート
  <第一部>
   冒頭挨拶:Duke
   歓迎の言葉:洗濯船M
   トーク:ひとり1曲 「酔う前に聴いて欲しいこの1曲」
  
  <夕食・宴会> 

  <第二部>
   レコードタイム:「ほろ酔いの貴方に捧げるこの1曲」
   オークション  :「今年もやってまいりましたこのひと時。安く出します、出させ
ます。札束舞います。」
   リスニングタイム
      ・
      ・
   各自就寝

  翌日AM8:00頃朝食、清算
  解散

=連絡事項=

◎持ち物:お聴かせ用レコード(特に枚数制限はしませんので各自の判断で)
  オークション用レコード・オーディオ製品
(出品は自由です。特に数量制限はありません)
  寝間着・洗面具
(歯ブラシ等はペンション備え付けもありますがなるべくご持参下さい)
     
◎精算金 
  1泊2食¥7,700(税込み)+α(酒代等)
  おつりの関係がありますので細かいお金も準備していただくと幸いです
  なお、カードによる清算はできませんのでよろしくお願いします

◎入浴は24時間OKです

◎参加申し込みについて:  
  参加ご希望の方はSPUまでメールにてご連絡下さい。
  e-mail al-owa@polka.plala.or.jp
  どなたでも参加できます。初めての方も大歓迎です。お気軽にどうぞ。


左上:右から八方尾根、五竜岳、鹿島槍ヶ岳
右上:息ケルン辺りからの白馬三山
左下:八方池と左に不帰の険、右に天狗尾根

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  • 2016年04月04日(月)09時50分

セッティングは重要4

「照明」
朝から小雨、古賀地方は昨日が花見の最盛期だったようで、ご近所で満開の桜を眺めることが出来た。忙しいから桜の下で宴会なんて出来ないけど。

ここ半年、我が家の音はひどい状態、モノラルはまだ聴けるのだけど、ステレオがどうもいけない。音のいい場所を求めて花見南に来たんだけど、ここもダメなのかな~?と思いながら原因を考えてみた。
とにかくルームアコースティックに問題があるのだ。電源はオーディオ専用にして、テーブルタップや壁コンセントはこれまで聴いたものの中でベストというものを使っているけど、電源スイッチを入れて「さあ聴こう」としたときのSN比が悪い。だから、音の悪い原因が探れないのだ。

リニアトラッキングアームを浮かせるためのコンプレッサーを2階に置いていて、コンプレッサーによる振動音はかなり対策をしたので支障のないレベルにはなっていないし、ステレオ用プレーヤー、VPIの古いものからは若干のモーター音が出てはいるが、直接音に影響のあるレベルでもない。ずっと考えて思いついたのが、移転したときには既に取り付けてあった古い蛍光灯のシャンデリア。これに原因があるとは思っていたのだが、換えるとしたら白熱球照明だけど、簡単には手に入らない。LEDはいいものか悪いものか分からないと思っていても、娑婆は全てLEDに替わっていくなか悶々としていたらいつの間にか3年経ってしまった。

3月初め、良くなるかどうか分からないのでもうイチかバチか、照明をLEDに換えることにした。古い蛍光灯のシャンデリアを外して、今風のスッキリしたLED照明に換えたら・・・なんとSN比が抜群に向上、音の善し悪しがはっきりするレベルになったではないか。

そこでモノラルは良くてステレオがイマイチの原因はカートリッジの劣化によるものではないだろうか?と思えてきた。ステレオ用カートリッジにはベンツマイクロ・ACEを使っているが、一度針先のみ交換して(本体ごとの交換ではない)、それから数年経っていた。試しに手元にあったZYX R100に換えてみると、あらあら、普通のいい音になってきた。ソフトによる音の違いも明瞭で、特にTAS Super Discの良さも十分出せるようになった。カートリッジの経年劣化が音に影響を与えていたのである。なんか数年のもやもやが一度に解消されてスッキリした。

今のところオーディオルームの照明は天井に2箇所、パソコン用に卓上スタンド1箇所(ここまでLED)そしてフロアスタンド1箇所(白熱球)になっている。
ベストは白熱球のフロアスタンドのみで聴くときだが、これでは暗すぎるので試してみた結果、天井1箇所&卓上スタンドの場合より天井1箇所のほうが少しいいレベル。LEDで問題はないのははっきりしたけど、最小限に使ったほうがSN比はいいようだ。

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  • 2016年02月04日(木)10時19分

セッティングは重要3

「スピーカーの置き方」
私はスピーカーからの距離はどのくらいで聴いているのだろう?と思いついて、これまで計ったことがないので計ってみた。
スピーカーのフロントから自分の頭の位置(リスニングポジション)までが2.5m。
ついでにスピーカーの間隔は?
左右スピーカーの中心から中心までは2mより少し狭い。
左右スピーカーの内側の間隔は120cm。
後ろの壁からスピーカーまでの距離は75cm(仰角があるスピーカーなので上下の真ん中との距離)。
左右の壁とスピーカーの外側の距離は50cm(マーチンローガンは幅が71cmで一般的なスピーカーよりは幅広)。
ちなみに部屋の広さは13畳程度。

仕事柄いろんなお宅に伺って聴かせてもらうことが多いのだけど、スピーカーが同じ置き方ということはまずなく、それぞれ自分の部屋に合った置き方をされている。当然部屋の広さや置いてある家具、レコードケース、ラックほか調度品によって置き方は変わるのだけど。リビングや書斎と兼用しているケースも多く、この場合は何らかのというかいろんな制約があり、出来ればオーディオ・オンリーつまりオーディオルームが理想だが、そうもいかないのが日本のオーディオ事情なのよね。

スピーカーからのリスニングポジションは意外と近い方がいい。私の部屋でスピーカーから4mの位置で聴いてみると音像がぼけてヴォーカルの口が大きくなってしまう。左右スピーカーの中心をから前後に移動してベストポジションを探ると2.5mになったのである。部屋の反響を利用しながら聴くということが重要なので部屋によってこの距離は変わるとは思うが。
部屋が20畳以上あり大型スピーカー&強力なアンプを使用した場合は違ってくるが例え広い部屋でも一般的な家庭用のシステムであればスピーカーからの距離は意外と近いほうがベターである。

今はどうか知らないけど、以前はオーディオ誌などで「スピーカーは後ろの壁にピッタリくっつけたら低音がよく出るようになる」というのがあったが、部屋の反響を利用しながら聴くからいけばスピーカーの後は間隔を開けておくべきである。左右スピーカーの外側と壁との間も開けておくべきである。

大きな部屋でスピーカーの間隔をかなり広げて、リスニングポジションも遠いところから聴いている方もいらっしゃる。この場合でも、前に書いたように強力なアンプ&大型スピーカーの場合は別として、左右スピーカーの間隔を狭めてあまり遠くない位置で聴いたほうが、フォーカスがピッタ合うケースが多い。

左右スピーカーを内振りにするのが一般的に行われているが、私は極端な内振りではなく若干の内振り(ほぼ平行)にしている。これは直接音をメインに聴くか間接音を上手く利用するかということで、直接音をメインに聴くと音は分厚くはなるものの音場や演奏者の姿かたちが損なわれることがあり、反射音が空間で音像を結ぶのにはどうすればと、聴きながらやったら最小限の内振りになった。

どんな音がいい音と思うかによってやり方は変わってくるのだが、レコードには人の姿かたち、その場で演奏しているような様子が分かるような、そして自然で広大な音場が記録されている。で、上手い具合にレベルアップするとミュージシャンの感情(訴えていること)が伝わってくるようになる。

左右スピーカーの間隔を広くして内振りにした場合、音場はスピーカーの内側に存在し、音像は右、左そして真ん中に定位し「スピーカーから音が出ています」的な音の聴こえ方になる場合が多い。平行ないしは平行に近い内振りと間隔をある程度狭くすることによって、音場はスピーカーの外側まで拡がり音像は前後左右に定位(ジャズだったらテナーサックスはバリッと前に飛び出してきて、ドラムやベースは奥の方に)し、スピーカーの存在を感じないような鳴り方になってくるのである。これで初めて人の姿かたちが見えるようになり、レベルが上がってくるとミュージシャンの感情が伝わってくるようなことも望めるのである。
ただ、よりハイレベルな音質向上を目指そうとするとこれだけではまだまだ、スピーカーの置き方以外にもやることがたくさんある。このへんは順次紹介していくつもりである。

スピーカーは少し動かしただけで音が変わるので、試してみたらいいかもしれない。


Harry Belafonte / Belafonte at Carnegie Hall (RCA LSO-6006)
最後の曲「マチルダ」で、ベラフォンテがステージを歩き回ってバックバンドとのやり取りや観衆とのやり取りが見事に再現される。

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