店主のひとりごと

 

  • 2012年11月28日(水)10時40分

桜山手の音 8.フォノケーブル

カートリッジをBenz Microにする前にやったことを忘れていた。
ある日匠がKimberのライケーブルを持ってきて「フォノケーブル」に使ったら面白いですよ」とおっしゃる。現状はPADのケーブルで満足しているが、違うものを使ったらどうだろうと試してみることにした。PADは直径が太く、Kimberはとっても細く、見た目の大きさは1/3ないしは1/4程度だろう。

ステレオシステムのほうに繋いでみるとこれは驚き、空間表現がとっても優れている。音離れが良くて、音が飛ぶということだろうか「こんな音場感が欲しい」と思った。ただ100%気に入ったわけではなく、あまりにも独特だからこれもいいけど今の音も捨てがたい・・・そんな感じだ。今のナチュラルな音で音が飛べば申し分ないけどという感想だった。

匠は「フォノケーブルは細いほうがいいのでは?」と言い出した。「そんなもんかな~」とか思っていると次の月、自作の細いラインケーブルを持ってきた。で、そちらに変えてみると、よりエネルギーが出てくるようになった。ついでに糸を持ってきて天井からフォノケーブルを吊るとケーブルが垂れ下がらずに空中に浮いたようになってグッと良くなったのだ。
余ったPADはモノラルシステムのフォノイコとプリアンプの間に入れたが、以前使っていたWのケーブルと比較してもナチュラルさが違いモノラルのほうもグレードアップしたのだ。

一石二鳥かな?

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  • 2012年11月24日(土)16時30分

桜山手の音 7.カートリッジ

桜山手の音 7.カートリッジ

この4年半でVPI+Eminentに取り付けているカートリッジを何回交換したかな~。
Benz Micro Ace H(2.5mv)→ZYX R100-02(0.24mv)→Grado Reference Platinum 1(5mv)→Grado/Statement Platinum 1(0.5mv)とこれだけ交換している。

ZYXにしたのは低出力のMCカートリッジを使ったことがなかったからで、さすがに端正なレンジの広い音になった。しばらく使っていると、低出力のためボリュームポジションが2時半くらいまで上げないと納得のいく音が出ないのでちょっと不満。高出力のGrado Reference Platinum 1にしてみると、ボリュームの位置は低くて済むがリニアトラッキングアームとの相性がどうもよくない。で、Grado/Statement Platinum 1は0.5mvだからボリュームの位置はZYXよりも低い位置で大丈夫だろうと交換してみたら、音はかなり向上したがボリュームの位置はZYXと同じ2時半でないとだめだった。4年くらいの間にこれだけ交換しても満足のいく結果が出ないのだ。

モノラルはある程度満足いく音になったのに何でステレオは?

CATのプリアンプが持つフォノイコライザーは優秀だからこれは昇圧手段など使わずに、という基本的なスタンスを持っている。CATのフォノは付加抵抗値が50Ω、100Ω、150Ω、300Ω、1kΩそして47kΩと選択できるようになっているので低出力のカートリッジでもOKと思っていたのだが、どうもそうではないのでは?と思いうようになった。
そこで最初に使っていた高出力のBenz Micro Ace Hを再び登場させることに。

これには伏線があって、PSYさんがいらしたときに「カートリッジの相性が良くないのでは?M54さん宅ではBenz Microがいい音で鳴っていますよ」とおっしゃったことを思い出したからだ。

で、以前使っていたBenz Micro Ace Hの針交換したものを取り付けてみると、ボリュームの位置は11時、音は・・・ちょっと明るすぎるんじゃないとかもっと沈んだ音が好きなのに思いながら1日過ぎ2日過ぎ・・1週間ほど経つと落ち着いてきた。これはいける、イメージしている音に近くなった。かなり満足出来るレベルだ。

故、山本博道氏撮影

アップロードファイル 58-1.jpg

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  • 2012年11月21日(水)18時12分

桜山手の音 6.目からうろこ

アンプやプレーヤーのピンケーブルも接続プラグのところで真下に垂れ下がっていることがある。軽いケーブルならそう問題ないとは思うが、フローティングタイプのプレーヤーは重たいケーブルを使いそのケーブルが垂れ下がっていると重量でフローティングの良さが損なわれることがあるし、アンプなどで接続プラグが垂れ下がると曲がった部分にストレスがかかって音に悪影響を与えることがある。

ある日匠がやってきて、「今日はスピーカーケーブルをさわります」とか。
何をするのかと思っていたら、スピーカー後ろの壁にピンを打ってそこにひもをかけ、スピーカーケーブルを吊るそうだ。確かに私もケーブル類の接触を避けようと洗濯バサミを使って工夫しているのだけど、何も壁から吊らなくても。
で、出来上がった音を聴いて唖然、空気感が増して、前後感とかより深くなった。明らかな音質向上である。

一カ月ほど後、再び匠が今度はプリ、パワー間のピンケーブルをさわると言い出した。「私はピンケーブルに関しては十分大対策しているんだけどな~」とか思いながら見ていた。
CATのパワーアンプは、一般的にはアンプの後ろにあるピンジャックが左右の前のほうにあり、私はピンケーブルの引き回しはスピーカーの後ろを通している。匠が「ケーブル同士は離れていたほうがいいので前を通したほうがいいようで」とか。
おっしゃるとおりにしてみたら・・・見事な音の変化、音のグレードがワンランク以上アップしたのではと思えるような。

これこそ目からうろこ。

アップロードファイル 57-1.jpg

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  • 2012年11月20日(火)18時37分

桜山手の音 5.ワンルーム・ワンシステム

モノラルは良くなったがステレオのほうはまだあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。いろいろ改良したもののその進み方が遅い、それと良くなったりイマイチになったりが続いたある日「そういえばミニシステムを入れた日音が悪くなったと感じたことがあった」と思いだした。

初心者向けにというかオーディオの入門編としてスピーカーのALR/Jordan Classic1を中心にしたミニシステムを組んでいるのだが、これは価格が安いわりに凄くお気に入りの音を出しているのだ。実際、お客様に聴いてもらうと「マーチンローガンよりこちらのほうが好きです」という方がかなりいらっしゃる。リン・ジャパンの営業の方が「ワンルームにはワンシステムです」とおっしゃったこともあったけど、こんなちっぽけなスピーカーが音の邪魔をするとは思いもよらなかった。

ものはためし、一度ミニシステムを外してみることにしてとりあえずスピーカーだけ外してみた。クリア度が全然変わったではないか、今までミニスピーカーの音も一緒に聴いていたことになる。もうあとは全部外すしかない。別の部屋にセットして改めて聴き直すと、マーチンローガンが嬉しそうに鳴っている。これほんと!

同じ方向に複数組のスピーカーを配置することには立体音声が出にくくなるという理由で反対していたが、システムを特にスピーカーを同じ部屋に置いたときこれほど変わるとは。おかげで問題点が分かりやすくなったように感じた。

オーディオ誌のお宅訪問記事に、高級オーディオをお持ちで一方向にスピーカーを2セットないしは3セット置いている方をたくさん見受ける。そりゃ写真で見るとよだれが出そうなシステムの組み合わせだけど・・・見た目が大事なのは良く分かる、オーディオは眺めてなんぼという部分が大きい。でもね、音は別なんだな~。

右端がミニシステム

故、山本博道氏撮影

アップロードファイル 56-1.jpg

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  • 2012年11月20日(火)17時44分

桜山手の音 4.モノラルカートリッジ

鳥栖のお客様から「Gradoのモノラルカートリッジをください」と注文が来た。それまでモノラルカートリッジは販売したことがなかったが、取り寄せて匠と一緒に取り付けに行った。途中車の中で「値段が安いからあまり期待は出来ないでしょうね」とか話しながら。

いつもの通りトーンアームにカートリッジを取り付けて音を出してみる。「エ!ちょっとこれはいいんじゃない」とか思っているとお客様が「これをかけてみてください」とアール・ハインズ/ニュー・アール・ハインズ・トリオを出してきた。その中にハインズのヴォーカルが聴ける「セント・ジェームス病院」を聴いたら・・・たまげた、ハインズが飛び出してきて感情むき出しにして泣くのだ。音の分厚さもあって、表現が無茶苦茶素晴らしい。知らなかった、Gradoの2万円程度のカートリッジがこんなに・・・。
お客様も私たちもニコニコ顔になった。

これは我が家にも入れないといけない。どれに取り付けようか、VPIはメインで使っているのでLP 12ないしはミニシステムのProject・・・考えた結果LP 12に取り付けることに。LP 12はリニアトラッキングアームを取り付けた時に改良しているので少しはましな音になっていた。

これまでモノラルレコードもステレオカートリッジで聴いていてそんなに不足は感じていなかったのだが・・・これは認識不足、モノラルカートリッジで聴くモノラルレコードはステレオカートリッジで聴いたときとは全く違う、別物の良さを感じることが出来た。特に女性ヴォーカルのフェロモンの出方が圧倒的、モノラルシステムの出来上がり、LP 12の改良も「少しはまし」ではなくて凄くいい方向になったようだ。
失敗は成功のもと。

ご来店いただいたお客様にこのアルバムの「セント・ジェームス病院」をかけながら「この凄さは普通じゃないですよ」と言ったら「寺嶋靖国さんが雑誌に、「セント・ジェームス・・」は入院していた恋人が亡くなって病院にその恋人の遺体を引き取りに行くときの心境の歌で、ハインズはそのへんをよく理解して歌っているから凄いと書いていた」とおっしゃいる。聴いてそれが分かる寺嶋さんも凄いけど、いやほんとこれは別格、感情が飛んでくるというのはこんなことだろう。

アップロードファイル 55-1.jpg

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