店主のひとりごと

 

  • 2016年10月08日(土)10時16分

「杜の会in白馬 ’16秋」報告 No.3

夕食準備の休憩に入ります。例によって入浴に出かける人もあれば、一室に篭って好例の「レコード自慢」に花を咲かせる人もあり…ことにMusashi no PapaさんとSPUさんのセレクトは羨望の的です。Bassclef君が見たら何と言うかなあ、なんて思いながら見ていました。
続いて和気藹々の夕食。レコード話、近況話に花を咲かせながら、ビールやら焼酎やら、飲める人はどんどんきこしめして…大丈夫でしょうか?

食後のひとときはオークション・タイム。
「杜価格」が毎度楽しみの企画ですが、昨年あたりから札束の飛び交いが増えているような…先発は夕食前から途中参加したワガママおやじさん。いつもの名調子でメンバーをその気にさせます…しばらくは笑って見ておられたDukeさんも、ついに買い付けモードに突入してしまいました。

レコード自慢
Yoshitakaさん
Recooyajiさん

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  • 2016年10月08日(土)10時13分

「杜の会in白馬 ’16秋」報告 No.4

第2部「ほろ酔いの貴方に捧げるこの1曲」1Fマッキンシステム

洗濯船Mさん。
デューク・エリントン『D.E.T.S.』1946年国債公募のためのコンサートをライヴ収録した私家盤
エリントンの声も、アンサンブルも、ジョニー・ホッジスの名演も、46年収録とは信じられないくらいの生々しい音で再現。洗濯船Mさんは、当時の録音技師から直接10数枚を入手されたとのこと。エリントンを熱愛するDukeさんの目が輝きます。

ワガママおやじさん
ナタリー・コール『アンフォゲッタブル』~表題曲 米エレクトラ
亡き父ナット・キング・コールとの有名なオーバーダビング・デュエット。そのナタリーも昨年末亡くなりましたね。天国で再開した二人は、ようやく本当のデュエットが…そんなことを考えながら聴いていました。

yositaka
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団『ラスト・コンサート』日コロムビア・ワルター協会
ワーグナー『ローエングリン』第一幕前奏曲…「二人の頑固指揮者」第二弾はトスカニーニです。1954年、世界初の実験的ステレオ録音が捕らえたのは、リハーサル中に記憶が途絶え、疲れきった大指揮者の演奏でした。でも私がこの音楽から聞き取るのは、疲労や絶望ではなく、抜けきった清澄感です。

konkenさん
サド・ジョーンズ 『モーター・シティ・シーン』日UA
「ライク・オールド・タイム」…三管編成、デトロイト出身のジャズ面の繰り広げる爽快な疾走感は、ジャケットの高速道路そのもの。がっちり支えるエルヴィン・ジョーンズのドラムスが痛快です。

ザ・バンド『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』米キャピトル
ボブ・ディラン曲「怒りの涙」…ザ・バンドのデビュー盤です。私は映画『ラスト・ワルツ』で初めてこのバンドを聴きました。ブラス・アンサンブルのような「チェイス」とは対照的に、カントリー・ミュージックに近い歌を軸にしたサウンド。いや、ロックの世界も幅が広い。

Musashi no Papaさん
『ジャッキー・マクリーン・クインテット』 米アドリブ
「ラヴァー・マン」…食事前のレコード自慢でも、このオリジナル盤は注目の的でした。ジュビリー盤でお馴染みのフクロウ風ネコではなく、男の頭部から湧いたような怪しい黒猫のイラストです。フクロウネコのほうが可愛いんじゃないかなあ。でも、飛び出してくるような音の鮮度はどうだ!駄耳yositakaも、これには参りました。

SPUさん
ジャッキー・マクリーン『スイング・スワング・スインギン』米ブルーノート
「ホワッツ・ニュー」…マクリーン続きです。前述「クインテット」とは対照的な、斜に構えた粋な崩しや音の温みが余裕ですね。「クインテット」の緊張感とは違います。ジャズ・ファンがマクリーンを愛するのは、こんな気分屋みたいな緩さが魅力なのかも。

チャランさん 
『エディット・ピアフ』 63年仏コロムビア
「バラ色の人生」「愛の賛歌」…ライヴ盤では、とのお話でしたが、検索すると、どうもピアフの追悼アルバムとして出たナンバリング入り限定盤のようです。「バラ色」は1945年「愛の賛歌」は1950年のSP録音ではないでしょうか。全盛期のピアフの歌声は素晴らしいですね。拍手とともに「今夜はこれが最高!」の声が上がっていました。

マントさん
マルコム・ゴールドシュタイン(Vn) シャルヴェンカ『ヴァイオリン・ソナタ』ドイツ私家盤
ゴールドシュタインは無調の前衛的な現代音楽を得意とするドイツのヴァイオリニスト。当盤は珍しく近代作品を取り上げた盤。シャルヴェンカはポーランドの近代作曲家で、シャープさの中に東欧風のローカルなメロディも感じられて味わいがあります。yositaka初耳です。傍らでパラゴンさんが「俺は修行が足りない、俺は凡人なのだ」と呟いておりました。そんなことはありません。むしろ知ってるほうが…

パラゴンさん
インゲ・ブランデンブルグ『It's All Right with Me』独CBS
「ラウンド・ミッドナイト」…「この人はドイツのクリス・コナー」とのご紹介でしたが、そうかな。私にはドイツのサラ・ヴォーンに聞こえましたけれど。ハスキー度濃厚、コブシもあり。そしてこのジャケット写真がまたオソロシイ。

二順目の終わったのは、11時を過ぎた頃。そろそろお酒も回って、睡眠モードの方もちらほら…しかし、まだまだ終わりませんよ。

Konkenさん
Musashi no Papaさん
パアラゴンさん

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  • 2016年10月08日(土)10時10分

「杜の会in白馬 ’16秋」報告 No5

第3部「フリータイム」地下JBLルーム

三度目のオープニングは洗濯船Mさん
CCR『雨を見たかいHave you ever seen The Rain?』日リバティ シングル盤
1971年発表。ベトナム戦争末期。Rainとはベトナムに投下されたナパーム弾を「晴れた日に降る雨」と表現し、アメリカでは放送禁止に。歌うことが主張だった時代の一曲。

SPUさん
コルトレーン『至上の愛』米インパルス(MONO)
これも時代の問題作。第1曲の終わりに登場する「お経」がいつ聞いても意味深ですが、ひとつの濃厚な音楽として愉しみたいものです。貴重なオリジナル・モノラル盤の音は腰が強く、コルトレーンのテナーが太い。

ソニー・クリス『アット・ザ・クロスロード』米プログレッシブ
「スイート・ロレイン」…「では、今度はストレートなジャズで」とおっしゃるSPUさんですが、ヴィヴラートの強い、尖った音色の一癖あるアルトサックスです。共演のJoe Scottとクレジットされたピアニストが実はウィントン・ケリーというのも面白い。

パラゴンさん
ホレス・パーラン『アス・スリー』米ブルーノート
「アス・スリー」…ホレス・パーランは右手に障がいがあって、主に左手を主にして演奏するピアニストでした。そのせいか、強靭なペースとドラムスに導かれるピアノは歌うピアノではなく、刻むピアノです。濁りとキレで出来たその音は、ブルーノートの録音と相性が良さそう。

Roxanさん
アル・コーン『オン・ザ・サクソフォーン』英DONE
ハンク・ジョーンズやミルト・ヒントンとの共演が楽しめる一作。ちょっとかすれた、よく膨らむフレージング。Bassclef君がコメントしていました。「地味だけど実にいいレコード。いつもは柔らかい音色のアル・コーンだが、アドリブの中で、高音の方にいくと、時に鋭い音を発する。その時の音のかすれ方が…ちょっとレスター・ヤングに似ているのかもしれない」

マントさん
エドゥアール・リンデンバーグ指揮 11人のアンサンブル サン=サーンス『動物の謝肉祭』仏オデオン10インチ盤
アンリ・メルケル、アンドレ・ナヴァラら豪華メンバーをそろえた演奏です。オンマイクで、奏者たちひとりひとりが飛び出してくるような鮮度。全曲の白眉はナヴァラが弾く『白鳥』の悠々たるチェロです。30年前、彼と握手したときの手の温もりを思い出しました。

Dukeさん
オードリー・モリス「酒場のバラード」表題曲 米RCA《X》レーベル
RCA廉価盤シリーズの中でも、演奏音質ともに特別な掘り出し物とのこと。鋭い眼光を飛ばすジャケットのポートレートが挑みかかるようですが、内容はピアノを弾きながらしっとりと歌いかけるバラードです。

SPUさん
セロニアス・モンク 米ブルーノート10インチ盤
「ラウンド・ミッドナイト」1947年11月21日録音…アルフレッド・ライオンに見出された無名時代の青年モンクの録音。やや古風なヘッドアレンジで始まりますが、あの不思議なフレーズと音圧の強いタッチは確固としていました。オリジナル盤に封じ込められているのはモダンジャズ黎明期の濃厚な時間。

Roxanさん
ステイタス・クウォー『スペア・パーツ』英パイ
イギリス・ロックの代表的なバンドだそうです。おや、洗濯船のJBLシステムの音が噂の「牙」を向いてきたような…

洗濯船Mさん
ビートルズ「抱きしめたい」英パーロフォン シングル
「私の思い出のバンド」といってかかったシングル。お馴染みの一曲でも、なんだか音の雰囲気が違う。腹の奥に突き刺さってくるようなこの尖り具合。やはり「牙」でしょうか?

ワガママオヤジさん
ちあきなおみ「夜を急ぐ人」日コロムビア シングル
「喝采」の陰に隠れがちだが、これこそ名曲とワガママオヤジさんが太鼓判。フォーク調の暗さが、彼女の歌い口に共鳴して、部屋の湿度が高まります。

マントさん
ポール・マカノヴィツキ(Vn) ベートーヴェン「クロイツェル・ソナタ」仏ルーメン10インチ盤
フランス盤愛好家お墨付きの名ヴァイオリニストの登場です。録音は名エンジニア、アンドレ・シャルラン。重厚長大なイメージの曲も、マカノヴィツキの手にかかれば繊細優美な音の流れに変貌してしまう。ノエル・リーのピアノ伴奏もお見事。

yositaka
エフゲニー・ムラヴィンスキ指揮レニングラード・フィルハーモニー交響楽団『モスクワ・ライヴ1965』 露メロディア
グリンカ「ルスランとリュドミラ」序曲…ついに「頑固指揮者」三人目を出してしまいました。これは史上最速の「突進するルスラン」として夙に有名な演奏です。yositakaには珍しいオリジナル盤なんです。えっ、安いって?

チャランさん
『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』 米コンテンポラリー
ジャズの名録音といえば、これでしょう。もちろん演奏もすばらしい。何の苦もなく湧き出る泉のようなアルトは、モーツァルトを思わせます。ジャンキーで、生活が荒れ荒れだったことも二人は似ている。

Roxanさん
ハウリン・ウルフ 『MOANIN' IN THE MOONLIGHT.』.米 Chess.
凄い濁声が胸を掻き毟るようなブルース、このサウンドはまさに「ハウリング」です。洗濯船JBLシステムがついに「牙」を剥きました。

チャランさん
フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル ブルックナー「交響曲第6番」~第2~3楽章 仏フルトヴェングラー協会
1943年の貴重なマグネトフォン録音のひとつですが、惜しくも第1楽章が欠落しています。第2楽章アダージョはロマン的うねりを持ちながら透明感も備えた演奏。第3楽章スケルツォは逆に畳み掛けるように疾走します。

マントさん
ジネット・ヌヴー(Vn)シュミット=イッセルシュテット指揮ハンブルク北ドイツ放送交響楽団 ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」~第3楽章 1948年ライヴ 仏スティル
クラシックならデュ=プレ、ジャズならパーカーと同じ荒ぶる魂の持ち主であるヌヴーのブラームス。フルトヴェングラーのマグネトフォン録音を手がけたフリードリヒ・シュナップによる名録音を、最上に再現するのが仏スティル盤です。

クラシックの大曲が2曲続きました。気付くとリスニングルームは閑散…時刻は午前1時を少し回ったところです。
洗濯船Mさんチョイスの『バド・パウエル・トリオ』をエンディング・テーマに、今年の秋の杜もお開きです。
皆さん、お疲れ様でした。ゆっくりお休みください…

お休み
マントさん
チャランさん

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  • 2016年10月08日(土)10時08分

「杜の会in白馬 ’16秋」報告 No.6

初めにご紹介した童話『月夜のでんしんばしら』の作者は、宮澤賢治です。
賢治は詩人、童話作家であるだけでなく、岩手きってのレコード・マニアでもありました。彼は膨大なSPレコードを、近所の楽器店を通して発注。英ポリドール(1924年設立のDGの分社)は、日本の田舎で売れるクラシック盤の異常な数に驚き、1927年、この楽器店に感謝状を贈ったのです。
賢治が「月夜…」を含む童話集『注文の多い料理店』を出版したのは1924年。これはレコード録音が機械録音から電気録音への切り替わった年で、賢治のレコード収集が最も加熱していた時期でした。初めて聴く電気録音の鮮明さに、賢治はどんなに驚いたことでしょう。
『月夜のでんしんばしら』のラストシーン。
線路をやってくる汽車の窓が真っ暗なのを見た電気総長は「こいつはしまった。けしからん」と叫んで走っている列車の下にもぐりこます。
「あぶない」と恭一がとめようとしたとき、客車の窓がぱっと明るくなり、一人の小さな子が手をあげて「あかるくなった、わあい。」と叫んで…物語はそこでぷっつりと終わります。
賢治が蓄音機やレコードを題材にした作品を残さなかったのは残念ですが、私にはこの作品が、賢治が言葉で描いた音楽賛歌にも思えるのです。

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  • 2016年09月03日(土)11時25分

モノラル?

最近立て続けに同じパターンの考え込んでしまうことがあった。
お客様が試聴希望されたときタイトルやミュージシャンの指定がなければ音が良くて演奏内容も優れたものをかけるようにしている。

1ヶ月ほど前、たまにいらっしゃる方にFrankie Carl / Top of The Mark(RCA LSP 2233)をかけたところ、「モノラルですか?」とおっしゃる。このアルバムはRCA Living Stereoで、特にステレオイメージが豊かなところが特徴であり、優秀録音盤と思っているのだが。

数日前、遠方(本州の北部)からわざわざいらした方に、Doris Day / Sentimental Journey(Columbia CS 9160)をかけたところ再び「モノラルですか?」とおっしゃる。このアルバムにしたって見事なステレオイメージがあり、私の大好きなステレオ盤である。

同じことが2回もあると、ちょっと悩んでしまった。
我が家のシステムはステレオイメージをよく出すのだが、可聴位置が狭いためセンターに座らず偏った位置で聴くと片方のスピーカーの音ばかり聴こえるというところはあるのだが、どちらもセンターで聴いておられた。

モノラルレコードをかけたとき「音離れがいいのでステレオみたいに聴こえますね」という方はたまにいらっしゃる。このときは「私もそう思います」と答えている。こちらは当たり前のことである。

では何なの?
あくまでも想像だが、ソロ楽器ないしはヴォーカルがセンターに定位してスピーカーの前に飛び出してきた場合、そんな音を聴いたことがなかったらそこばかりに気を取られてモノラルと勘違いしてしまう。
または、音はスピーカーから出てくるものと思っている場合、ちょっと語弊があるので言い方を変えると、いつもスピーカーにへばりついている音を聴いている場合、音離れが良くてスピーカーの存在を感じさせない音を聴いたときには、センターに定位した音に耳がいってしまい、勘違いしてしまう。
はっきりした結論はまだだけど、こんなところだろうか?

左:Frankie Carl / Top of The Mark
右:Doris Day / Sentimental Journey

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