レコードのススメ

第1章:レコード講座
  第8節 レコード及びジャケットの保護

レコード店を始めた頃、入荷してくるレコードの状態の悪さにがっかりすることがよくあった。盤では疵、パチパチノイズ、歪み、針飛び等、ジャケットでは底抜け、上下コーナー裂け、リングウエア、水濡れなどである。盤に関しては、以前からクリーニングをやっていたこともあり、Vinyl Cleaning WaterとLastの使用でいくぶん改善できるのだが、ジャケットの改善は難しい。そんなことを考えていくうちに、ジャケットがこれ以上悪くならないようには出来るのではないかと思いあれこれやってみた。



ジャストフィットスリーブNP1をつけたジャケット

国内盤、たしか東芝EMIのブルーノート・シリーズがたくさん入荷したとき、ジャケにフィットする柔らかいビニール袋が付いていてどのジャケットも綺麗な状態だった。PP袋(普通のビニール製外袋)だけだとレコードを出し入れするときにジャケットを直接手で触ることになるが、ジャケットにフィットした袋が付いていれば手で触る必要がない。 これがあればジャケットの劣化は防げると、早速、レコード付属品の問屋さんに注文したが、意外なことに作っていないという返事がかえってきた。製作されて4~50年が経過しているオリジナル盤をメインに扱っているので、これはどうしても必要ということで特注して作ってもらうことにした。
これで目出度しになるといいのだが、通常サイズのジャケットにフィットするように作ったため、Columbia/60年代後半~70年代のジャケットは大きくて入らないものがあるし、GF(ゲートフォールド)ジャケットには役に立たない。今年になってフィットする袋の在庫が少なくなったので再び注文したら、なんと縦横のサイズが間違ったものが送ってきた。こちらの注文したものより開口部が大きくてジャケットにフィットしないどころかダブダブサイズが出来上がってしまったのだ。特注だから返品も出来ないし困ったな、と思ったときに閃いた。これだったらGFジャケットにいいのでは?早速入れてみるとOK!ちゃんとGFジャケットや大きめのジャケットにはフィットするのだ。通常サイズも改めて注文し、やっと2タイプのジャストフィットスリーブ(NP1、NP2)が出来上がった。

でも、これだけで全て解決というわけにはいかない。レコードを長いことジャケット入れておくと、盤とジャケットが触れたりすることによってリングウェアが出来たり、上下コーナーが裂けたりする。これの解決はレコードとジャケットを別々に保存する事がいいだろうということで、既製品の白ジャケを使うことにした。また、直接レコードに触れる内袋は一般的にはビニール製の薄い袋を使う場合が多いが、ここにも問題がある。レコードの天敵、静電気を起こしやすいし、湿気のある場所ではカビも生えやすい。だが、これも既製品の紙スリーブを使うことで解決出来た。


白ジャケC11

試行錯誤していくうちに出来上がったのが現在の仕様、紙スリーブ(C16)、白ジャケ(C11)、ジャストフィットスリーブ(NP1 or NP2)そして普通の外袋(LY10)の組み合わせです。
当店では別売も行っています。詳しくはこちら