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第4章:オーディオ2008
第1節 憧れのアンプ・CAT
10年以上前のこと、私と同じマーチンローガンCLSを使っている熊本市のシンメイさん宅に遊びに行った。シンメイさんのシステムはカートリッジ/スミコ、トーンアーム/エミネント、ターンテーブル/メイプルノール、プリアンプ/Convergent Audio Technology(以後CAT)、パワーアンプ/ドイツ製の管球式、ケーブル/ワイヤワールドといったラインナップで、プリアンプに高級品を使っている以外は私のシステムとほぼ同じレベルのシステムなのだ。
いつものように「あーだこーだ」言いながらレコードを聴かせて貰うと、ロックが実によく鳴るシステムではあるがジャズのインストはイマイチ。これは多分シンメイさんがロック大好きでロックをメインに聴いているからだろうと思う。そしてシンメイさんが「これちょっと聴いてみて」といいながら出してきたのが、Abbe Lane / Be Mine Tonight (RCA LSP-1554) 、ゴールドのドレスを着た別嬪さんがポーズをとっている凄く魅力的なジャケットだ。シンメイさんがかけると、ティト・プエンテ楽団をバックにアビー・レーンがお色気たっぷりにラテンナンバーを聴かせてくれる。じっと聴き込んでいると、なんとアビー・レーンが腰を振りながらステップを踏んでいるのが分かるのだ。つまり踊りながら歌っている場面が録音されているではないか。これは凄い!私のシステムではこの音は出ない。
何故こんな音が出るの?」と聞くと「プリアンプがCATだからじゃないかな」との返事が返ってきた。ただ価格が当時で100万円、サラリーマンだった私に買えるわけはなく「うちのシステムにCATが入ったらどんな音になるのだろう?」という憧れみたいなものだけが残った。

レコード店を始めて音質向上に対する意欲は盛んになり、音の匠(熊本市の佐藤俊哉さん)の知恵や技術を借りながら、マーチンローガンの振動板交換、VPIの外部電源取り付け、プレーヤー・ラックの床を地面から立ち上げてジャッキアップするなどいろんな対策をやってきた。数年前には「このシステムでこれだけの音ならいい線いっているだろう」というレベルまで来れたと思うようになった。
そんなある日音の匠から「CATのデモ用プリアンプがアリミズ(熊本市のオーディオショップ)さんに来ていますから、自分のシステムに組み込んで聴いてみませんか」という誘惑の電話が来たので当然「お願いします」と即答した。翌日には届いたので早速セットしてみると「パワーが全然違う」というのが第一印象。カートリッジが拾った情報をプリアンプがそのまま、というかパワーアップさせて送り出しているように感じた。かといって色づけなどはない。Earl “Fatha” Hines / Fatha (M&K Realtime 105) で最初に出てくるチューバの朝顔がくっきりして低い音がズバッと出てくるし、アール・ハインズのピアノを弾く指が太く逞しい。
台所で炊事をしていた奥さんに「CATは音のレベルが違う」というと「ここで聴いていても音の違いが分かります」だって。やっぱりCATは凄い!

いろんなアンプを聴いてきたが、私に「これ欲しい!」と思わせるものはなかった。そんな経過があり、Audio NinonynoメインシステムのプリアンプはCATになった。CATを自分のシステムに組み込みたいからオーディオ店を始めようと思った部分もないわけではない。

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